虫に鳥にも

読んだものと日々の記録。

何もしていなくはない

 未開の地にはまだ発見されていないウイルスがあるだとか、地球にはないウイルスが宇宙からやってくるだとか、そんなぼんやりとした話を見聞きしたことがある。島田荘司の『透明人間の納屋』だったかな…。真偽は知らないが、ありそうな話だとは思う。

 今となっては、ペストやコレラ、スペインかぜは歴史の一部だ。やがてはこのコロナ騒動もそうなるのだと信じているが、終息がいつになるのか、さすがに2年も続くと会社が傾く。

 解雇されないかぎりは人ごとのように眺めていられるかもしれない。もちろん影響を受けないわけではないが、今のところは週1程度の出社とスーパーへの買い出し以外はほとんど出歩かず、市内に住む家族とすら1カ月以上顔を会わせず、会話のない生活を満喫している。曖昧でぼんやりし始めた日常の端っこで、歴史のダイナミズムを感じている。大きな時代の流れの中にいる実感というか、世界は自分の日常につながっているんだなというか、のんきと言えばのんきな話だ。

 在宅といえども最低限の仕事はしているつもりだが、早起きは苦手なので勤務時間は勝手にずらしているし、疲れたらベッドで昼寝もする。平日の仕事を休日に入れ替えたりもする。テレワークというには語弊がある。会社の人と電話やメールでやり取りするわけでもないから、次の出社日までに、この信頼を壊さない程度の仕事をすればよい。

 時間も心身もずっと余裕があり、その余裕のぶんだけ、ただごろごろと怠惰に過ごしている。明るい日差しの中での二度寝、これ以上の至福があるだろうか。ゴールデンウィーク前の算段では、本を読んだり、映画を観たり、ヨガをしたり、DTPの勉強をするつもりじゃなかったのか…? いや、いまさら自分にそんな期待をしても無駄だよな。理想が高過ぎる。

 この1カ月で成し遂げたことといえば、ゲームを一つクリアしたことと、仕事中のBGMがわりにNetflixでアニメ『金田一少年の事件簿』を流し続けていたので、ちょっと詳しくなったことぐらい。子どものころは分からなかったけど、はじめちゃんってかわいいんだな。

 クリアしたゲームは、『あつ森』の陽の気をずっと浴び続けていられずに始めた『シンキングシティ』という極めて陰気なサスペンス(ホラー?)アドベンチャーだ。探偵として謎を解き明かすというものだが、クトゥルフ神話をモチーフにしていて、雰囲気がとても好きだった。盛り上がるような内容ではないけれども、不気味で、薄気味悪くて、後味もちょっと悪いという、しばらく浸っていたいような心地よい世界観だ。クトゥルフ神話にはぜんぜん明るくないが楽しめる。ラヴクラフトもそのうち読んでみようという気になった。

 こうして振り返ると、本当に満喫しているな。縦になっているより横になっている時間のほうが長いけど、何もしていなくはないやろ。バナナマフィンも作ったし…。