虫に鳥にも

読んだものと日々の記録。

ほあほあ

ムーミンと暮らし始めた。暮らし始めたとしか言いようがないほどの存在感がある。おもに鼻づらがでかい。正面から抱きしめると顔がつっかえるので、背後から首に腕を回して寝ている。広い部屋に引越し、ダイニングテーブルを置いて、一緒に食卓を囲みたい。棺桶には入らないかもしれない。

 

【ムーミン】ほあほあムーミン2L | オンラインショップPEIKKO

 

 ペン字の練習も始めた。通信教育とかではなくて、本屋さんで売っている1ヶ月分のドリルみたいなやつ。DTPだのなんだのといっても、割り付け作業というアナログな仕事がある限り、字はうまい・読みやすいにこしたことはない。

 

ご飯茶碗を左側、汁椀を右側に置くのが一般的だと思うけど、逆のほうが食べやすいような気もする。ご飯茶碗なんか倒れたところで問題ないけど、汁椀の場合は悲惨だし。左にご飯、右におかずの大皿、ご飯の奥に汁椀が一番食べやすくて、おぼんの場合は収まりもいい。

 もともとお味噌汁が好きではなかったけれど、最近、おいしく感じてよく作るようになった。だしをきかせて、具をたっぷりいれて、風味をあじわう。関西の味噌はからいので、九州か四国、信州あたりの味噌を使う。

母の味噌汁は(佐賀の味噌なんだけど)塩辛くて苦手だった。あれも、朝食、弁当、洗濯、子どもの送迎、自分の出勤と慌ただしいなか用意してくれていたから、煮立たせてしまっていたんだなと今にして思う。でもやっぱり帰省したときに飲む母の味噌汁は塩辛くて、後ろを向いているすきに勝手にポットのお湯を足している。

 

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 帰宅してから寝るまでDQB2に耽るという生活をしている。ハーゴン教団が禁止するのももっともだと思う。

 実家もこんなふうにブロックを積み上げて造れたらいいのに。エアコンを付けてあげたいけれど、隙間だらけで、壁やベランダの強度にも不安のある古い日本家屋だから難しい。

 子どものころから夏場のあせもと鼻血には悩まされたが、最近、マンションのエアコンが新調されたことで、そんな悩みとも無縁になった。さらっとした快適な部屋で、ソファに寝そべりゲームをしていると、罪悪感やうしろめたさに殺されそうになる。喜びや楽しみの裏に常に後ろめたさがつきまとう。帰省するたびに小金を渡したって、自分の罪悪感をちょっと薄めるだけで、生活を楽にしてあげられないなら、なんの意味もないよな。その帰省すら今年は無理だろう。

 

何もしていなくはない

 未開の地にはまだ発見されていないウイルスがあるだとか、地球にはないウイルスが宇宙からやってくるだとか、そんなぼんやりとした話を見聞きしたことがある。島田荘司の『透明人間の納屋』だったかな…。真偽は知らないが、ありそうな話だとは思う。

 今となっては、ペストやコレラ、スペインかぜは歴史の一部だ。やがてはこのコロナ騒動もそうなるのだと信じているが、終息がいつになるのか、さすがに2年も続くと会社が傾く。

 解雇されないかぎりは人ごとのように眺めていられるかもしれない。もちろん影響を受けないわけではないが、今のところは週1程度の出社とスーパーへの買い出し以外はほとんど出歩かず、市内に住む家族とすら1カ月以上顔を会わせず、会話のない生活を満喫している。曖昧でぼんやりし始めた日常の端っこで、歴史のダイナミズムを感じている。大きな時代の流れの中にいる実感というか、世界は自分の日常につながっているんだなというか、のんきと言えばのんきな話だ。

 在宅といえども最低限の仕事はしているつもりだが、早起きは苦手なので勤務時間は勝手にずらしているし、疲れたらベッドで昼寝もする。平日の仕事を休日に入れ替えたりもする。テレワークというには語弊がある。会社の人と電話やメールでやり取りするわけでもないから、次の出社日までに、この信頼を壊さない程度の仕事をすればよい。

 時間も心身もずっと余裕があり、その余裕のぶんだけ、ただごろごろと怠惰に過ごしている。明るい日差しの中での二度寝、これ以上の至福があるだろうか。ゴールデンウィーク前の算段では、本を読んだり、映画を観たり、ヨガをしたり、DTPの勉強をするつもりじゃなかったのか…? いや、いまさら自分にそんな期待をしても無駄だよな。理想が高過ぎる。

 この1カ月で成し遂げたことといえば、ゲームを一つクリアしたことと、仕事中のBGMがわりにNetflixでアニメ『金田一少年の事件簿』を流し続けていたので、ちょっと詳しくなったことぐらい。子どものころは分からなかったけど、はじめちゃんってかわいいんだな。

 クリアしたゲームは、『あつ森』の陽の気をずっと浴び続けていられずに始めた『シンキングシティ』という極めて陰気なサスペンス(ホラー?)アドベンチャーだ。探偵として謎を解き明かすというものだが、クトゥルフ神話をモチーフにしていて、雰囲気がとても好きだった。盛り上がるような内容ではないけれども、不気味で、薄気味悪くて、後味もちょっと悪いという、しばらく浸っていたいような心地よい世界観だ。クトゥルフ神話にはぜんぜん明るくないが楽しめる。ラヴクラフトもそのうち読んでみようという気になった。

 こうして振り返ると、本当に満喫しているな。縦になっているより横になっている時間のほうが長いけど、何もしていなくはないやろ。バナナマフィンも作ったし…。