虫に鳥にも

読んだものと日々の記録。

『ジョン・ウィック』(米2014年公開)感想

 

 3作目が日本でも今年の10月に公開されるというので、それに向けてDVDを借りてきた。

 

■犬がかわいい

 ふわっとした予備知識では「元殺し屋の男が、愛犬を殺され、復讐のため殺し屋に戻る」というストーリーで、実際、そのような展開ではあったが、主人公ジョン・ウィックキアヌ・リーブス)と犬とのふれあいは短く、あっという間に犬は退場してしまう。それでもこの犬は「病死した妻からの贈りもの」だったので、ジョンが復讐に燃えるインセンティブとしては十分だ。ジョンと犬の交流を親密にすればするほど観客にとっては苦しくなるので、むしろ愛犬家への配慮かもしれない。

 どうやらジョンは、23時頃には就寝して6時頃に起きるという規則正しい睡眠生活を送っているようだ。プライベートもくそもないようなガラス張りの寝室に、夜明けの青白い光が満ちるなか、子犬がジョンの顔にじゃれつき、ジョンが「起きるよ」と言いながら身を起こす。その背中にさらに子犬がじゃれつく。この朝の情景があまりに理想的でうらやましく、映画を観終わったあとにリピートしてしまった。

 

■どんどん死んでいく

 犬1匹を殺した対価として、本来なら実行犯である3人をジョンが仕留めれば気が済む話ではあったが、実行犯の主犯格は、地域の有力者(ロシアン・マフィアのボス)であるヴィゴの息子であった。ヴィゴはジョンに狙われることになった息子を守るために、組織の全人員を投入する。結果的にジョンはすべてを返り討ちにし、本懐も遂げ、組織を壊滅させることになる。ヴィゴが雇った殺し屋を含め、登場人物がどんどん死んでいくので、かえって命の重さや人間ドラマをあまり気にすることなく見ることができる。話はシリアスだが、何も考えなくていいタイプの映画といえる。

 

■引っ越したほうがよい

 ジョンが住む地域は、闇社会の勢力がある種の秩序を成しており、犯罪者や組織(殺し屋、掃除屋、マフィア、ホテルなど)が闇通貨と思われる金色のコインで取引し、「コンチネンタル・ホテルでは仕事(殺し)をしてはいけない」というルール・制裁まである。ジョン・ウィックは凄腕の元殺し屋として地元でも有名人であり、闇社会の人々からかなりの畏怖と敬意をもたれている描写がある。それどころか、騒音の苦情を伝えにきた警官すら、ジョンの家に転がる死体を見ても「ああ、お仕事なんですね~」と理解を示す始末である。

 ジョンは妻との結婚を機に殺し屋を引退していたはずである。闇社会の経歴を持ちながら同じ地域にとどまり、いかにも侵入が容易そうな開放的な家で暮らしていた時点でツメが甘いといえる。