読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

虫に鳥にも

読んだもの、見聞きしたものの記録に。

デイミアン・チャゼル監督『ラ・ラ・ランド』(2016)感想

映画 ラ・ラ・ランド ポスター 42x30cm La La Land ララランド ライアン ゴズリング エマ ストーン [並行輸入品]

 

▼主演男優

 ライアン・コズリングといえば、私の中では『ドライブ』(2011年)だ。すごくカッコイイって雑誌に書いてあったので、DVDを借りて観たことがある。率直にいって面白くはなかったけれど、やけに強烈な印象に残る作品で、ライアン・コズリング演じるドライバーの、こいつヤバいなって感じとか、彼の着ている背中にサソリの刺繍が入ったクッソダサいジャケットとか、エレベーターの中のヒロインとのキスと、男の顔を踏み潰すシーンとか、ところどころ、忘れられないでいる。

 ライアン・コズリングは、たぶんイケメンって感じではないけれど、知的にも見え、紳士にも見えて、反面、なんだか頭が弱そうにも、優柔不断そうにも見える。それが全部あわさって、なんとなくヤバい人なのでは?っていう雰囲気がある。つまりサイコパスのような(単にこれは『ドライブ』の印象が強いだけかもしれない)。『ラ・ラ・ランド』でも、どこかそういう感じはある。優し気なまなざしと、何を考えているのか分からない表情には、狂気みたいなものがうっすら漂うのに、どうあがいても情けなさそうに見えるのが、なんだか不思議な味わい。映画の前半は相変わらずのクッソダサい格好で、そのせいで時代設定がいまいち分からなかった。

 

▼主演女優

  エマ・ストーンの何が際立つかというと、白い肌だった。衣裳も色鮮やかで、背中が大きくあいたものが多く、肌との対比を強調したものだった。さらにいえば、周囲の女性の配役も、つまり肌の色合いも、エマ・ストーンが一番輝くように選ばれていたと思う。この映画は、映像の編集に頼らない、舞台のような演出方法をとっているので、スローモーションも、ストップモーションも人の動きで演じるし、照明を一人にあてて周りを暗くしたりする。そうした演出上、エマ・ストーンの肌の白さは、たとえ均等に照明があてられていても彼女にスポットライトがあたっているかのように画面に浮かび上がる。白い肌、鮮やかな衣装。どこにいても彼女がヒロインだ、という感じがする。

 

▼その他

 歌とダンスの割合は、そんなに多くない気がする。ミュージカルとしてはオープニングが一番の盛り上がりかも。主演ふたりは、とても美しい声だけれども、舞台で歌うような声の太さがあるようでもないし、踊っているときも真剣そのものって感じだったから。それでも観たあとに踊りたくなるのは(この感想は世界中で何百万回と言われているだろうけど)、2人の男女の心躍るような恋があるからかもしれない。

 個人的に好きなシーンは、セブ(ライアン)がミア(エマ)の実家に押し掛けたとき、「なぜここが?」と聞くミアに対して「図書館の前だ」と答えたところ。2人の関係がいったん壊れたタイミングで、まだ2人の恋が始まるかどうかの頃のミアの話(家の前に図書館がある)をセブが覚えていたと分かるシーンだ。とても粋な演出だと思う。

 ミアがプリウスを走らせて実家に戻るシーンなんかも、プリウスのコマーシャルみたいで美しかった。