虫に鳥にも

読んだもの、見聞きしたものの記録に。

マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督『レッドタートル ある島の物語』(2016)感想

The red turtle

 

 秋だからでしょうか。無性に映画が観たくなる季節です。表題の監督名に誤字がないか心配です。芸術の秋に寄り添う一作でした。

 

 映像は、セル画のような質感と、CGの動きが合わさった表現で、絵本がカサカサ動いている感じです。日本昔話的というか、春休みの午後2時ぐらいにNHK教育で流れてそう。色合いは柔らかで、無駄のない綺麗さはあると思います。ジブリ作品の中でいうと、ポニョとかぐや姫の間あたりで、例えば、トトロとかもののけ姫あたりの自然描写とは違う。タンタンの冒険みたいなシンプルな顔なので、たまに大写しで神妙な表情をされると笑えてしまうのがシュールでした。縦棒の目に八の字眉なんだもん…。

  音楽は全然、印象に残りませんでした。穏やかだったり、不安をあおる旋律だったり、もちろん場面によっての効果はあったのですが、まさにそういう効果のためのBGMって感じ。全体をとおして静かな印象です。

 面白かったかといわれると、つまらなくはないですが、エンターテインメントとして「面白い」作品ではないと思います。80分という、昨今の映画にしては短い時間。でも、これ以上長いと冗長になります。「ジブリの映画を観にいく」のではなく、「美術館に動く絵画を観にいく」っていう心づもりで観れば、文化的な満足が得られそう。

 以下、内容に触れます。

 

 自然賛歌的な映画なのかなと思ってぼんやり観ていたら、突如としてファンタジーが発生し、

   Σ(・□・;)ファッ?!

 ってなりました。

 まさか、人と亀子とのラブストーリーだったとは…。

 鶴は千年、亀万年というくらいですから、亀子は長いこと孤独だったのかもしれません。そこへ現れた人間の男性。亀子は恋に落ち…ということでしょうか。それは一方で、亀に見初められてしまったがために、男性はあの島に囚われてしまった、ともいえます。

 男性の人生の選択肢があまりにも狭められていて、もしかしたら感動的な物語なのかもしれないんですけど、私は結構、こわい話だな、と思いました。