読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

虫に鳥にも

読んだもの、見聞きしたものの記録に。

河野稠果『人口学への招待』 その3 結婚

社会学(読書記録)

 

 

(4)少子化と結婚

 

▶年齢別有配偶率

 

 ……日本では結婚の代わりとなる同棲、パートナーシップ、そして婚外出産は非常に稀であり、出産はほとんど結婚を通じて生ずる。……

 日本では、これまで少子化の流れにもかかわらず、期間別からみた有配偶出生率が比較的安定していた。……一方、年齢別の有配偶率は男女とも近年急速に低下している。これらの事情から、近年の少子化の主因は結婚しているカップルが子どもを産まなくなったのではなく、適齢期の20歳代、30歳代の男女が結婚しなくなったためであると結論づけられてきた。(163~164頁)

 

 適齢期の20歳代、30歳代の男女が結婚しなくなった……。胸に突き刺さるものがあります。統計データを見てみましょう。

 

f:id:skk-kiyono:20160505030726p:plain

 

 とくに20代の有配偶率の変化は目をみはるものがあります。かつては大半が20代のうちに結婚していた時代がありましたが、いまとなっては少数派です。この表をみると安心感すら覚えます。しかし、婚外子の稀な日本においては、この傾向こそが少子化の要因といえるでしょう。

 

▶晩婚化・非婚化

 

f:id:skk-kiyono:20160505031639p:plain

 

 初婚年齢はどんどん後ろ倒しになっています。国立社会保障・人口問題研究所の「人口統計資料集(2016)」によると、1950年の平均初婚年齢は夫が25.9歳、妻が23歳でしたが、2014年には、夫が31.1歳、妻が29.4歳となっています。出産可能な時期には限りがありますから、初婚年齢が後ろにずれるほど、出産可能な出生児数が少なくなることが考えられます。

 

f:id:skk-kiyono:20160505032552p:plain

 

 近年は未婚率の増加も顕著です。50歳の時点で、男性の5人に1人、女性の10人に1人が未婚ということになります。

 

(5)おわりに

 

 高齢化の要因が少子化少子化の要因が晩婚化・非婚化であるということができます。こうした背景に、私たちをとりまく社会環境の変化、つまり、生き方の多様性や、経済的な問題があります。そうした社会経済的理論については、本書『人口学への招待』で紹介されていますが、うまく説明できないので省きます。

 本書出版時は、ちょうど人口が減少に転じるかどうかの過渡期でしたが、それから8年が経ち、高齢化、少子化、および晩婚化・非婚化はその歩みのスピードを緩めることなく進行しています。福祉、教育、経済など、社会制度のあり方を改革することによって対応しなければならない「社会問題」なのです。長い年月をかけ、徐々に好転していくことを願います。