虫に鳥にも

読んだもの、見聞きしたものの記録に。

死刑(読書記録)

井田良・太田達也編『いま死刑制度を考える』 その3 死刑適用基準

(5)日本の死刑適用基準――第4章:原田國男 ■永山事件基準 本章では、日本において死刑適用基準となっている「永山事件基準」について説明がなされています。永山事件基準とは、1968(昭和43)年に、当時19歳であった永山則夫が2名のタクシー運転手と2名の…

井田良・太田達也編『いま死刑制度を考える』 その2 修復と応報

(3)修復的正義――第2章:高橋則夫 第2章は、被害者(遺族)の応報感情と刑事司法についての論稿です。*1 まずは、前提として、①被害者遺族が死刑を望むのは当然の感情であること、②法は応報感情のみで行使されるわけではないこと、この2点を押さえたう…

井田良・太田達也編『いま死刑制度を考える』 その1 「制度」を「考える」

△井田良・太田達也編『いま死刑制度を考える』(慶應義塾大学出版会、2014年)*1 (1)はじめに 私が卒論を書くときに、この本があればな……と思いました。死刑に関する本って、たいていは存置論か、廃止論か、どちらかの立場で書かれます。それは良いとして…

加賀乙彦『死刑囚の記録』 その3 濃縮された時間

kinglog.hateblo.jp △前回の記事の続きです。ちょっと長くなってしまいました。 本書は7章構成、「あとがき」を含め全233頁の新書です。その多くが事例紹介であり、東京拘置所で出会ったゼロ番囚たちについて、その妄想や、陽気な性格、冤罪、宗教などに着目…

加賀乙彦『死刑囚の記録』 その2 一斉調査

(2)死刑確定者 著者は数多くのゼロ番囚に会ううちに、殺人犯にはいろいろな性格がいることに気づき、なかでも陽気でおしゃべりな人たちに関心をもちます。 その陽気な人間が、実は不安を隠し持っている。とくに印象的な人物として、松川勝美という死刑確…

加賀乙彦『死刑囚の記録』 その1 妄想の培養器

▶加賀乙彦『死刑囚の記録』(中公新書、1980年) 高校生の頃、市民図書館の閉架から加賀乙彦『帰らざる夏』(1973年)を掘り起こし、一晩中、どきどきしながら読みふけったのを思い出します。 著者である加賀乙彦氏は、陸軍幼年学校に進学するも、在学中に終…