虫に鳥にも

読んだものと日々の記録。

忘却と喪失

大伯母はおそらく90代半ばくらいで、数年前に旦那さんが亡くなり、子どももいない。しばらくはそのまま1人暮らしをしていたが、認知症が進んだために生活能力もなく、いまはグループホームで暮らしている。子どものときにたびたび会いにいったので、私のこ…

大型連休中のきれいな思い出だけ日記

これは実家の田んぼと、その目の前に広がる海。いつもは死ぬほど暑いか死ぬほど寒い時季にしか帰らないので、初夏の心地よさが新鮮だった。鴨がいると聞いていたが、残念ながら見当たらない。 この田んぼでは卒寿を超えた祖父が今も米をつくっている。九州で…

猫をみつめるとき、猫もまた

デジカメを新調して浮かれているので、しばらくは意味のない記事に意味もなく写真を載せていくと思う。 きょうは自分のミスが発覚して、つらい1日だった。うちの会社は頭ごなしに怒られたりするような社風ではないが、けっこう動揺してしまって、まともに謝…

花と鳥

絶好のお花見日和。

あの子、かわいいの?

ある芸能人をさして、「あの子、かわいいの?」と訊かれ、「かわいく見えるときもあるが、そうでないときもある。10年前は線が細くてかわいかった」と答えたら、ピークを過ぎたのかな、と言われて、結局、私が傷ついた。私はその芸能人のファンではないが、…

能楽「大会」感想

二条城で能楽を観てきた。あいにく寒の戻りで春の陽気が遠く、せっかく二条城に来たけれども桜はまだ咲き初めだった。二の丸御殿台所が能楽堂代わりだったのだが、蔵のような建物でずいぶん足先が冷えた。 能を観るのは初めてだ。本格的な能楽ではなく、中央…

隠居したい

人づきあいがないわりには、なんだかんだ忙しいと思う。ヒマを求める人間だから、ちょっとしたことで忙しいと感じてしまうだけかもしれない。 今は誰も住んでいない親戚の家が田舎にあって、ゴールデンウィークには片づけに行かねばならないのだが、この家を…

みんなつかれて

今まで職場の人目につかない席で自由を謳歌していたが、隣に管理職?が来てから、さすがに堂々とブログを書くわけにもいかなくなった。管理職というか、私の中ではハンコを押す人である。他の部署からも、「あの人、何してるの」と訊かれる謎人事。いい人な…

四柱神社

初詣といえばいつも、とりあえず町の神社には行くのだが、もっと近くに地域の神社があることを知り、初めてお参りした。生まれて30年、一度も行ったことのない神社だ。 坂道の下に車を置いて山の上まで登るのだが、これが坂道というより山道、獣道で、何度も…

大型連休は死活問題

ちょうど丸3年間、Excelで収入の記録を付けている。その頃から副業の収入がある程度入るようになり、確定申告や奨学金猶予の申請上、年収を把握しておく必要があったからだ(それ以前は将来の見通しもなく、お金のことを考えるのがつらかった)。 その3年間…

タヌキのしっぽはしましまじゃない

部屋に小さいガジュマルを置いているが、本当にガジュマルかと疑わしいほど葉が少なく、ひょろひょろしている。心配になって触ってみて、根腐れしているらしいことに気がついた。幹の土に埋まっている部分がふかふかしている。ガジュマルは頑丈だというから…

面倒くさがっているうちに

今年の秋に行った二つの美術展について書こうと思いながら、結局何も書いてない。つくづく日記を書くのに向いていないと思う。中学生のころ、毎日担任に提出する3行日記みたいなのがあって、ほとんどは何を食べたかだけを書いてしのいだ。 感情を言葉にする…

人生の帳尻

生まれてきた以上、人生を否定はしないが、別に生まれてこなくてもよかったな、という気持ちはある。私は経済社会的には自分1人を生かしておくだけでトントンで、なんの余剰もない人間だ。奨学金を抱えているぶん、むしろマイナスだし。私が生まれていなけ…

谷口・綾部・池田編『セクシュアリティと法』 その1 前提と意義

△谷口洋幸・綾部六郎・池田弘乃編『セクシュアリティと法:身体・社会・言説との交錯』(法律文化社、2017年) (1)セクシュアリティと法 ■はじめに 「ジェンダー」「LGBT」という言葉は、今や説明を要しないほど知名度を得たように思います。多くの場合に…

ターナー展に行ってきた

(1)空間の広がり ターナーって誰だっけと思いつつ、会社に招待券があったので行ってきました。地味といえば地味ですが、美しい風景画です。私はとくに「ソマーヒル、トンブリッジ」という作品にうっとりしました。 *参考:https://intojapanwaraku.com/a…

ベーシックインカムの社会実験

今朝、出勤しながらスマホを眺めていたら、目に飛び込んできたこの記事。 www.businessinsider.jp Y Combinator というアメリカの会社が、3000人を対象にベーシックインカムの実験を行う予定であるとの内容です。 同社は3000人の参加者を2つの州から集め、彼…

ブリューゲル「バベルの塔」展に行ってきた

興奮するほど素晴らしかった…。 現存するブリューゲルのバベルのうちの一つが来日しています。私は大阪の国立国際美術館で鑑賞してきました。上の画像からもみてのとおりのスケール感と、重厚な色合い。しかし、今回は、実物を目の当たりにできる幸運はもち…

ピーター・ラビット展に行ってきた

グランフロント大阪で開催中のピーター・ラビット展に行ってきました。思ったよりも展示数が多くて充実しています。グッズも豊富でピーターに貢いでしまった…。開催情報は公式HPへ(ビアトリクス・ポター™生誕150周年 ピーターラビット™展)。このHPを見るだ…

デイミアン・チャゼル監督『ラ・ラ・ランド』(2016)感想

▼主演男優 ライアン・コズリングといえば、私の中では『ドライブ』(2011年)だ。すごくカッコイイって雑誌に書いてあったので、DVDを借りて観たことがある。率直にいって面白くはなかったけれど、やけに強烈な印象に残る作品で、ライアン・コズリング演じる…

マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督『レッドタートル ある島の物語』(2016)感想

秋だからでしょうか。無性に映画が観たくなる季節です。表題の監督名に誤字がないか心配です。芸術の秋に寄り添う一作でした。 映像は、セル画のような質感と、CGの動きが合わさった表現で、絵本がカサカサ動いている感じです。日本昔話的というか、春休みの…

山田尚子監督『聲の形』(2016)感想

前回観たのが『君の名は。』だったせいか、最初は絵に少しだけ違和感(枚数とか、動きとか、画面がキラキラしてない感じ)がありましたが、しばらくすれば気にならなくなりました。時期が時期だけに比較してしまいますが、ストーリーの起伏とか、完成度とし…

井田良・太田達也編『いま死刑制度を考える』 その3 死刑適用基準

(5)日本の死刑適用基準――第4章:原田國男 ■永山事件基準 本章では、日本において死刑適用基準となっている「永山事件基準」について説明がなされています。永山事件基準とは、1968(昭和43)年に、当時19歳であった永山則夫が2名のタクシー運転手と2名の…

新海誠監督『君の名は。』(2016)感想

観てから少し間が空いたので、感想というほどの感想も、あまり残ってはいないのですが。 新海監督の作品はそこそこ拝見しているのに、映像の美しさは印象に残っても、ストーリーは実はそんなに頭に残りません。その中では、『君の名は。』という作品は、エン…

井田良・太田達也編『いま死刑制度を考える』 その2 修復と応報

(3)修復的正義――第2章:高橋則夫 第2章は、被害者(遺族)の応報感情と刑事司法についての論稿です。*1 まずは、前提として、①被害者遺族が死刑を望むのは当然の感情であること、②法は応報感情のみで行使されるわけではないこと、この2点を押さえたう…

井田良・太田達也編『いま死刑制度を考える』 その1 「制度」を「考える」

△井田良・太田達也編『いま死刑制度を考える』(慶應義塾大学出版会、2014年)*1 (1)はじめに 私が卒論を書くときに、この本があればな……と思いました。死刑に関する本って、たいていは存置論か、廃止論か、どちらかの立場で書かれます。それは良いとして…

飯田高『法と社会科学をつなぐ』 その3 「社会」と「世間」

(4)「社会」と「世間」 今回はちょっとタイムリーなテーマかもしれません。 ■社会的な苦痛 世の中には人間嫌いという人がいます。私ももう少し若い頃には、自分は人間嫌いなのだと思っていましたが、正確にいうと、社会的なやりとりが嫌いなのだと思いま…

飯田高『法と社会科学をつなぐ』 その2 「われわれ」意識

(3)「われわれ」意識 ■社会的動物 前回、人間は社会的な動物である、という表現を使いました。有名な言い回しですね。 社会的動物 social animal, political animal アリストテレスが社会的=ポリス的存在として人間を規定したことば。この種の規定として…

飯田高『法と社会科学をつなぐ』 その1 カスケード現象

▲飯田高『法と社会科学をつなぐ』(有斐閣、2016年) (1)目次構成 ここで取り上げられている社会科学とは、経済学、心理学、社会学の領域です。目次構成は以下のようになっています。 第1章 個人の意思決定 インセンティブ/意図せざる結果/限界効果/…

河野稠果『人口学への招待』 その3 結婚

(4)少子化と結婚 ▶年齢別有配偶率 ……日本では結婚の代わりとなる同棲、パートナーシップ、そして婚外出産は非常に稀であり、出産はほとんど結婚を通じて生ずる。…… 日本では、これまで少子化の流れにもかかわらず、期間別からみた有配偶出生率が比較的安…

河野稠果『人口学への招待』 その2 高齢化と少子化

(2)年齢構造と高齢化 ▶年齢構造 人口学では人口構造の年齢について、大きく三つの部分に分けて考える。第一は15歳未満の「年少人口」、第二は15歳から64歳までの「生産年齢人口」、そして第三は65歳以上の「老年人口」(あるいは「老齢人口」)と呼ばれる…