虫に鳥にも

読んだものと日々の記録。

たまには選挙について考えることもある

 今回の参議院選挙の投票率は48.80%、戦後2番目の低さとのこと。内心、投票率が上がるのではと予想していただけに、意外な思いがありつつも、単に私や私の周囲が政策に無関心ではいられない年代に入ってきただけかもしれません。

 私自身、20代のころは日々の生活に必死で、自分のこと以外を考える余裕がありませんでした。将来が不安だからこそ政治に関心をもち、投票所に行くことが大切なのかもしれませんが、貧すれば鈍するとはよく言ったもので、人は生活につかれると考えることすら億劫になるのです。さらに学生のころにさかのぼってみると、自分の生活と政治が直結しているという実感や切迫感がまったくなく、そういう意味では教育というのはある程度の限界があるとも感じます。*1

 実際のところ、私はその日の気分で投票所に行ったり、行かなかったりしていました。自分の1票で何かが変わるわけではない。投票しない人はたくさんいる。参政権は義務ではなく権利だ。そう思いながらも、投票に行かなかったときは何となく後ろめたさがあります。

 一方で、自分のような政治に無知な人間が、ネットで簡単に検索しただけの浅い知識で誤った判断をしてはいけない、という怖さもありました。1票の軽さと重さを同時に感じているのだから、矛盾しているようですが、少なくとも投票が一つの判断であるということは理解しているのです。

 

 近年の投票率は、参院選衆院選、いずれも50%台で推移しています*2。正直にいえば、こうした数字でも案外多いように感じています。日常において選挙や政治の話などしないのに、2人に1人以上が投票しているというのは、普段の無関心さを裏切るような数字です。とはいえ、この数字を支えているのは50代以上なので、10~30代では3人に1人程度の投票率です*3。60代と20代では投票率が倍も違うのだから、政治家が若者より高齢者の支援を重視するのは当然の話です*4

 もちろん日本は超高齢社会であり、私たちもいずれ必ず高齢者になるのだから目の敵にする必要はないのですが、同時に日本は少子社会・人口減少社会であり、私たちは今の生活において苦しんでいるのだから、それもまたないがしろにされるべきではありません。様々な立場の人が、その人の立場から望ましい候補者・政党を選ぶ(望ましくない候補者・政党を避ける)ものなので、むしろ自分のことだけを考えて投票するほうがよいくらいかもしれません。

 

 「3人に1人は投票している」ということは、裏を返せば、3人に2人は選挙活動上は見えていない、存在していないことにならないでしょうか*5。「投票していない人」を考慮せず、「投票した人」だけを見てみます。つまり、年代別投票率ではなく、投票者の年代別構成比です。「平成29年衆議院議員総選挙小選挙区)投票者数(年代別)」*6をもとに計算しました。

 

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投票者の年代別構成比

 20~30代は足して2割足らず、ようやく他の年代に対抗できる程度です。

 とはいえ、少子高齢化が進む昨今、いくら若年層が投票しても高齢者の数にはかなわないのではないか、とも思われます。選挙権が18歳にまで引き下げられたのも、そうした背景が要因の一つかもしれません。そこで、この円グラフに「投票していない人」も入れてみます。つまり「有権者」の年齢別構成比です。

 

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有権者の年代別構成比

 団塊ジュニアの影響はありますが、それを除けば、それぞれの年代で大きな差はありません。これを見ると、20代、30代は実際の社会においては決して端役ではないことがわかります。

 若年層の投票率が上がれば、その構成比も大きくなりますが、それと同時に他の年代の構成比を小さくする要因にもなります。もし政策が世情を反映していないと思うのなら、投票者の構成比を現実の(有権者の)構成比に近づけることも手段の一つです。これは、投票するだけで意義がある、といえるように思います*7

 

 本当は投票所に行かなくても投票できれば一番いいのですが…。期日前投票も増えてきていますが、自分のスマホやパソコンから投票できれば、若年層の投票率も上がるかもしれません。ついでに、書き間違いによる無効票もなくなるでしょう。

 しかし、ネット投票の場合、「誰が投票したかはわかるが、誰に投票したかはわからない」というシステムを用意する必要があります。前者の確認は比較的簡単でしょうが、私は有権者のAです、と確認された状態で投票するわけですから、このままだと投票者と投票先がひも付けされてしまいます。

 そこで、方法としては、以下のようなやり方が考えられます。

 

 秘密保護のため、投票データは二重に暗号化して送信されます。投票用紙を内封筒に入れた後、さらに外封筒に入れるのと同じイメージです。開票する際、一つ目の暗号(=外封筒)を解除しますが、同時に「誰が投票したのか」というデータを削除します。その結果、二つ目の暗号(=内封筒)を解除して「誰に投票したのか」が判明する時には、投票者が誰なのか分からない仕組みです。*8

 

 技術的には不可能ではないようです。ネット投票が導入されるのも、そんなに先のことではないかもしれません。

 

*1:選挙に行くのが当たり前である、という環境をつくることが肝要かもしれません。

*2:http://www.akaruisenkyo.or.jp/070various/

*3:http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/news/sonota/nendaibetu/

*4:参院選2019 主要政党の公約:https://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_pol_election-sangiin20190628j-07-w680

*5:もちろん社会問題というのは、政治に参加している人よりもむしろ参加していない(できない)人にとってより切実なのであり、国会ではそうした様々な問題について議論されているかと思います。

*6:https://www.city.funabashi.lg.jp/shisei/senkyo/007/p056944.html

*7:どこも(誰も)支持したくないという人が、「どこも支持していない」という意思の表明として選挙に行かないことを選択することもあります。また、自分が選んだ政党・候補者が選ばれなかったとき、自分が投じた票を「死票」と表現して歎くことがあります。しかし、投票せずに透明人間になるよりも、投票率や構成比を押し上げるほうが、どの年代にとっても、それぞれにとってよいはずです。

*8:https://mainichi.jp/senkyo/articles/20190712/k00/00m/010/345000c

トルコ至宝展に行ってきた

 

 「じゃがりこ bits」という、チャック付きで、ちょっと短めのじゃがりこ。一度に全部食べないし、いにしえのCMみたいに「ジャガリコジャガリコジャガリコ、じゃーがーりーこーじゃーがーりーこーじゃーがーりーこー」みたいな食べ方もしなくなったから、ちょうどよい。新幹線で移動するときはコレをおやつにしよう…。

 

 先日、京都国立近代美術館で開催されている『トルコ至宝展』に行ってきた。ここでのトルコの至宝というのは、オスマン帝国時代の美術工芸品だ。金、銀、真珠、ダイヤモンド、エメラルド、ルビー、翡翠などがふんだんに使われた宝飾品や食器。チューリップがあしらわれた衣服や敷物。日本から渡った陶磁器など。美しく見ごたえのある展示品の数々だった。

 ターバン飾りや剣、兜、手鏡、ベルトなどには、1個くらいくすねてもバレそうにないくらい、たくさんの宝石がちりばめられている。相当重たいんじゃないだろうか。柄がまるごとエメラルドになっている宝飾短剣は、存在感があって、美しく、当時のスルタンの権勢を感じる。

 中国から運ばれたお皿は、オスマンの職人によって金と宝石で飾り付けられており、多分、地味だなあと思ってそうしたんだろう。

 チューリップはトルコ語でlale(ラーレ)。このつづりの配列を変えるとアッラーイスラム教の神)となり、ラーレを逆から読むとヒラール(三日月。オスマン帝国のシンボル)となることから、宗教的、国家的な象徴として、様々なものにあしらわれている。

 スルタンが着用したカフタンという民族衣装もあった。これにもチューリップがあしらわれていたが、印象的だったのは、綿入れのように分厚いことと、やけに袖が長いこと。体を大きく見せるためだろうか。

 

 会場は近代美術館の3・4階なのだが、そこはかとなくカレーのにおいが漂っていた。見終わった後、1階のカフェでアツアツの焼きカレーを食べて帰った。

 

turkey2019.exhn.jp